いろいろな形の乳歯不正咬合

次に乳歯の不正咬合の典型的な形を記載します。不正の状態が顕著でなかったり、またこれらの不正が重複した状態であったりすることもかなりあります。乳歯列の矯正(歯列育形成、咬合誘導)に慣れた歯科医は、確実な診断ができます。もちろんこの診断は、お子様を将来正しい永久歯咬合にするためのものです。

乳歯列の過蓋咬合(咬み合わせの深い乳歯列)

乳歯列の過蓋咬合は、歯の健診で不正咬合とされないこともあります。

過蓋咬合

上の乳前歯と下の乳前歯の重なり(被蓋)が大きく、著しい場合は下顎の乳前歯がほとんど見えない症例もある。
多くは上または下の歯槽骨の高さが高いことが原因している。

<参考>大人の過蓋咬合

かなりの軽度の過蓋咬合を除き、乳歯列の過蓋咬合は永久歯になっても過蓋咬合になることが今までの研究でわかっています。
永久歯の過蓋咬合は、下顎の運動(下アゴの動き)に制約ができてしまい、機能的な問題がおきます。

<症例1>
症例1 初診時 4歳3ヵ月
症例1 歯列育形成を始める。 前段階プレート装着 4歳4ヵ月

症例1 過蓋咬合なおった。 5歳7ヵ月

年齢が高くなってから、過蓋咬合を治す場合には、咬合を高くしなければならないので、顔が長くなる恐れがあります。

ジャーミーデント歯科/歯列育形成(R)

乳歯列の前突(でっぱ)

<症例2>
症例2 初診時 3歳8ヵ月症例2 初診時 3歳8ヵ月症例2 初診時 3歳8ヵ月症例2 前段階プレート装着 3歳8ヵ月症例2 前段階プレート装着 3歳8ヵ月症例2 前段階プレート装着 3歳8ヵ月症例2 前段階プレート装着 3歳8ヵ月症例2 前段階プレート装着 3歳8ヵ月

乳歯の時に上の歯が出ている症例のほとんどは、乳歯列弓(乳歯のアーチ、上図参照)の狭窄のによるものです。
乳歯列の形を良い形にすると前突は治ります。もし何もしなければ、大人になってもその特徴が残ってしまいます。

狭窄によらない前突は、下顎骨後退によるものや、まれに上顎骨の過成長(大きすぎる)によるものがあります。すべて乳歯列のうちに対処してその後継続管理します。

ジャーミーデント歯科/歯列育形成(R)

閉塞型乳歯列または乳歯列の叢生(すき間のない乳歯の歯並び)

<症例3>
症例3 初診時 4歳6ヵ月症例3 初診時 4歳6ヵ月
症例3 閉塞型乳歯列に歯列育形成(R)を続ける。
症例3 5歳9ヵ月
症例3 5歳9ヵ月
症例3 前段階プレート装着 3歳8ヵ月症例3 前段階プレート装着 3歳8ヵ月

乳歯列期の歯並びは、空隙(すき間)があるのが正しい歯並びです。

空隙がなかったり、歯と歯が重なっている状態であると、将来正しい永久歯の歯並びになることはありません。

乳歯にすき間がない場合でも、生えてきた永久歯は並ぶことがある。と書いてある本もありましたが、乳歯にすき間がないと、将来永久歯に生えかわった時は上下とも前方に出た状態で配列してしまいます。

乳歯列期から歯列を始めると、小学生の時には、出っぱや叢生にならないできれいな歯並びにすることができます。

ジャーミーデント歯科/歯列育形成(R) ジャーミーデント歯科/歯列育形成(R)

乳歯列の反対咬合(受け口)

乳歯の時の反対咬合は、歯列育形成ですべて3~7カ月位で治すことができます。
年齢が低い程、顔を美しくする効果がはっきり現われます。
全部永久歯に生え換わった時きれいな配列にするには、その後の継続管理が必要です。

<症例4>
症例4 初診時 4歳4ヵ月症例4 4歳8ヵ月・5歳8ヵ月症例4
<症例5>
症例5 2歳3ヵ月症例5 3歳0ヵ月症例5 3歳7ヵ月・7歳11ヵ月症例5 10歳5ヵ月症例5 13歳3ヵ月症例5 15歳7ヵ月

乳歯の時の反対咬合が治ると、鼻すじが通り顔が美しくなったのがわかります。美しくなった状態で学童期に成長します。

「乳歯の反対咬合は自然に治ることもある」と書いてある本もあります。しかし、反対咬合が自然に治った場合でも下アゴのズレは残ってしまい、顔にその特徴が現われたまま成長します。